不動産会社が災害前・災害時にできること

不動産会社が災害前・災害時にできること概要

首都直下地震後の仮住まい広域化の可能性
<セミナー内容派生レポート>
-首都直下型地震の住宅被災状況試算から考える-

不動産会社が災害前・災害時にできること

1.「住宅損壊の試算」と「応急住宅の不足数」

内閣検討会による首都直下型地震の試算結果

全半壊戸数※1 応急仮設住宅想定必要数※2 可能な限り賃貸用の住宅空き家で対応した場合の個数※3 応急仮設住宅必要戸数 広域避難必要世帯数
茨城県 12,512 3,754 3,754 0 0
埼玉県 367,046 110,114 110,114 0 0
千葉県 231,577 69,473 69,473 0 0
東京都 1,890,167 567,050 489,600 77,450 0
神奈川県 643,021 192,906 192,906 0 0
合計 3,144,323 943,297 865,847 77,450 0
  • ※1 総務省固定資産税概要調書(H26.1)および住宅・土地統計(H25)を基に、棟数から戸数に変換
  • ※2 国土交通省「応急仮設住宅建設必携中間とりまとめ」の推計方法例を基に、全半壊戸数の3割と想定
  • ※3 総務省「平成25年住宅・土地統計調査」(腐朽・破損なしの戸数)内閣府検討会第一回資料1 6-7Pを要約して作成

応急住宅不足数の集計

過不足数(腐朽・破損なしの賃貸空家のみ利用する場合) 過不足数(腐朽・破損なしの賃貸空家のみ利用する場合)
夏・昼・風(3m/s) 冬・夕・風(3m/s) 冬・夕・風(8m/s) 夏・昼・風(3m/s) 冬・夕・風(3m/s) 冬・夕・風(8m/s)
茨城県 97,141 97,141 97,141 97,141 97,141 97,141
埼玉県 154,557 85,619 35,749 154,557 85,619 35,749
千葉県 175,668 154,142 130,283 175,668 154,142 130,283
東京都(区部) -39,140 -459,972 -638,763 -39,140 -459,972 -638,763
東京都(多摩) 142,066 134,021 129,811 142,066 134,021 129,811
神奈川県 228,793 126,713 27,033 228,793 126,713 27,033
合計 759,086 137,664 -218,746 759,086 137,664 -218,746

2.「試算から言えること」と「今後すべきこと」

試算分析のまとめ

  • 想定都心南部直下地震で、全壊最大61万棟の半数以下である全壊23万6千棟の条件でも12の区で仮住まいが不足し、区をまたいだ応急居住が必要になる。
  • 全壊最大61万棟の3/4程度である全壊46万5千棟の条件では都区部で約46万世帯分の仮住まいが不足し、都県をまたいだ応急居住が必要になる。

今後の課題

  • 供給側の状況に加えて、都民を対象にした事前アンケートによるニーズの把握
    →要援護者への対応含む
  • 実際の対応準備を進めるために
    • 不動産業界や建築業界との連携強化
    • 被災者台帳システムの仮住まい広域化対応
    • 市区町村や都県をまたいだ情報共有や調整
    • 地域における仮住まいについての話し合い等

3.被災した方に住宅を提供できる存在である不動産会社

国庫より仲介手数料が支払われる、震災時の空き家活用スキーム「みなし仮設制度」

「みなし仮設制度」とは、震災などで住居を失った被災者が、民間の賃貸住宅を仮の住まいとして入居した場合に、その賃貸住宅を国や自治体が提供する「仮設住宅」(応急仮設住宅)に準じるものと見なす制度であり、「みなし仮設住宅」とは、民間の、現在賃貸物件として貸し出されている住宅のことを指します。

【不動産会社にとってのみなし仮設制度のポイント】

  • 住居の家賃や敷金・礼金・仲介手数料などが国庫負担の対象とされる
  • 適用期間は2年間

おおいに活用されているみなし仮設制度

熊本地震におけるみなし仮設住宅活用状況は、2016年末の段階で1万2千世帯を超え、予定された4,303戸が完成した応急仮設住宅の3倍近くに達しています。

おおいに活用されているみなし仮設制度

4.熊本地震にみる「みなし仮設住宅制度」の借上条件

住宅借り上げの条件

  1. 応急仮設住宅としての使用について貸主から同意を得ているもの
  2. 管理会社等により賃貸可能と確認されたもの
  3. 家賃1ヶ月当たり原則6万円以下(対象世帯が5名以上(乳幼児を除く)の場合は9万円以下)

県の費用負担

  • 礼金:家賃の1か月分を限度
  • 仲介手数料:家賃の0.54か月分を限度
  • 退去修繕負担金:家賃の2か月分を限度
  • 火災保険等損害保険料
  • 入居時修繕負担金:1戸当たり57万6千円を限度

入居期間

  • 入居時から2年間の「定期建物賃貸借契約」

入居時修繕負担金に関して

災害により損害を受けた住宅の補修にかかる費用を、空き家となっている賃貸住宅を「補修の上、被災者を入居させる場合」を対象として、負担する制度もあります。なお、これについては1戸当たり57万6千円を限度として支給されます。

5.いつかやってくる震災に対し、不動産会社としてやっておくべきこと

平時より、制度に対する理解を深めておく

震災時、空き家となっている賃貸物件を活用する機会となるこの制度。不動産会社としては、制度の内容を事前に知っておくことで、震災時に空き家を被災者のためにも、また自社の収益のためにも活用することができます。なお現在のところ、震災時、この制度に所有物件を活用したい場合は、地方自治体にその旨を自ら伝えることが必要です。

普段より地域住民や賃貸オーナーに周知をしておく

この制度を活用したい不動産会社としては、普段より物件を管理している賃貸オーナーや、地域住民にこの制度を説明しておくと共に、震災時には自社がこの制度を活用し、物件を仲介できることを伝えておく必要があります。そうすることで、普段から「防災対策意識の強い不動産会社」として地域から認知され、他社との差別化がなされると考えられます。また、賃貸オーナーに対しても、災害時に空き家を埋めてくれる不動産会社として認知されれば、管理を任されやすくなると考えられます。

【「仮設制度を活用する不動産会社である」と普段から周知しておくことのメリット】

  • 防災意識の高い不動産会社として他社との差別化が図れる
  • 災害時に、空き家を活用できる不動産会社として、管理が任されやすくなる

賃貸契約等のタイミングにも制度について説明を行う

賃貸契約の際に、入居者にみなし仮設制度について説明を行っておくのも良いでしょう。

  • 『災害時の住環境・生活環境EXPO2017』開催セミナー「首都直下地震後の仮住まい広域化の可能性」資料より作成
  • データ提供・分析:佐藤 慶一 氏(専修大学 准教授)

首都直下型地震後のみなし仮設制度などの仮住まいについてのセミナー開催

首都直下型地震後のみなし仮設制度などの仮住まいについて、2017年10月10日(火)・11日(水)に実施される「災害時の住環境・生活環境EXPO2017」(同時開催:みんなのアレルギーEXPO2017)セミナーで学ぶことができます。≪参加無料≫

セミナータイトル
首都直下地震後の仮住まい広域化の可能性
日時
2017年10月11日(水) 10:30~11:10
場所
〒160-8330 東京都新宿区西新宿2-2-1
京王プラザホテル4階 けやき
セミナー概要
首都直下地震後の仮住まいは、BCP(事業継続)や帰宅困難といった問題に比べて、これまで注目されることが少ない問題でした。しかしながら、災害により住宅を失った方が必ず直面し、その生活を左右するような大きな問題です。本セミナーでは、最新の被害想定や住宅統計・データを用いた研究結果から、想定首都直下地震後の仮住まい広域化の可能性を指摘し、国内外の多様な対応事例をご紹介します。行政はもちろん、企業や地域、ご家庭においても、あらためて現在想定される事態を確認して、具体的な対応策を考えたり、事前準備を進めるきっかけとなれば幸いです。
講師名
佐藤慶一(専修大学 准教授)
講師プロフィール
佐藤慶一

1978年生まれ。東京工業大学都市地震工学センター研究員、東京大学社会科学研究所助教、同准教授を経て現職。想定首都地震・南海トラフ巨大地震後の仮住まい対策を研究。2017年3月11日のNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 “仮設6年”は問いかける ~巨大災害に備えるために~」に出演。

事前参加お申込みはこちらから
首都直下地震後の仮住まい広域化の可能性
災害時の住環境・生活環境EXPO2017
災害時の住環境・生活環境EXPO
みんなのアレルギーEXPO2017サイト
みんなのアレルギーEXPO
お問い合わせ先
一般社団法人 地域防災支援協会
03-6280-3452 平日10:00~18:00