東京さすけなぶる・避難所対応講座

みんなのアレルギーEXPO2017

<みんなのアレルギーEXP開催セミナー講師インタビュー>
災害教訓から首都直下地震の避難所対応を考える

「”東京さすけなぶる”・避難所対応講座」

●コーディネーター
三平洵(一般社団法人地域防災支援協会 代表理事)
●ファシリテーター
天野和彦(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 特任教授) 他

<セミナー概要>

これまでの災害から多くの教訓が生まれています。それらの教訓をこれからの災害対策に生かすことが災害教訓教育の一番の目的です。このセッションでは、東日本大震災の避難所で実際に起きた様々な事例を基に対応を学ぶ、ワークショップ型の新しい避難所教育ツール「さすけなぶる」を、東京で首都直下地震が発生した場合に想定をアレンジした「東京さすけなぶる」として体験頂きます。
刻一刻と変わる状況の中で、多種多様な問題が発生した場合に臨機応変に対応していかなければならない災害対応の考え方をお伝えします。

当セミナーのファシリテーター、天野和彦氏にセミナーのポイントについてお話をお伺いしましたのでご紹介します。

人は、震災という「事故」だけで亡くなるわけではない

天野和彦氏

天野和彦氏

東日本大震災、熊本地震。近年、立て続けに大規模な震災が起きていますが、このいわば「事故」で多くの方々がお亡くなりになったのは記憶に新しいと思います。ここで、実は「震災に関連した死」については2種類あることを皆様ご存知でしょうか。それは「直接死」と「関連死」です。直接死とは、建物倒壊や火災、津波によるものなど震災を直接的な要因とするものです。一方、関連死とは震災後、心が弱くなって亡くなってしまったりと、一度は命が助かったにも関わらず、亡くなってしまうということを指します。そしてなんと、熊本地震においては関連死が直接死の倍以上を占めているのです。私は、この関連死を減らすことができるものこそが、「避難所」であると思います。一般的に、震災から命を守るための議論では「地震が起きた際にいかに行動するか」ということになりがちですが、私はこの避難所のあり方を議論することも、震災から命を守るために必要なことであると思います。

<天野和彦氏プロフィール>

2011年の東日本大震災発生時には、郡山市の「ビックパレットふくしま」に開設された福島県下最大の避難所で、県庁運営支援チームの責任者として支援に携わる。富岡町生活復興支援センター「おだがいさまセンター」センター長を経て、2012年より現職。福島県出身。

「避難所の役割」をまずはより多くの人に知ってもらいたい

避難所について、皆様どのようなイメージをお持ちでしょうか。多くの方は「家に帰れないから、仕方がなく滞在する場所」と捉えているのではないでしょうか。私は、避難所とは雨風をしのぎ、食事が提供される場所という存在だけではないと思います。避難所は、「一人ひとりの生活再建の場」であるべきだと考えます。被災した方々にとって、最も重要なことは、いかに日常を取り戻すかということです。「日常を取り戻せる」ということは、希望となり、生きる力となることです。これがイメージすることができないことこそが、震災関連死の主な要因にもなっていると思います。避難所は、一人ひとりが生活再建の青写真を描く場であり、そのための情報を取得し、行動に移すために支援を受けることができる場なのです。

避難所が一人ひとりの「希望の場」として機能するために

避難所が被災者の希望の場となるためには、まずは避難所が「できるだけストレスなく居ることができる場」である必要があると思います。避難所に居ることが心のエネルギーを奪ってしまうようなことになってしまっては、生活再建のための前向きな動きの足かせにもなってしまいかねません。だから、避難所では皆が手を取り合い、協力して辛い現状を乗り越えるための「協力体制の土壌」を築くことが必要になってきます。

福島県に避難所責任者としてみてきた、「避難所において大切なこと」

ビッグパレットふくしま

ビッグパレットふくしま

私は、東日本大震災発生時に郡山市の「ビックパレットふくしま」に開設された福島県下最大の避難所の責任者として、「避難所の実情」を目の当たりにすることで、あらためて避難所生活にとって必要なことを感じました。それは、人と人とのつながりです。避難所には一人あたり1m×1mのスペースしか割り当てられませんでした。人と共生せざるを得ない状況において、互いのことを知り合い距離が近づけば、少しのことは許せ、ストレスに感じなくなります。また、人と人のトラブルが発生しても「まあまあ」で済むことも多くなります。実際に、避難所では「喫茶サロン」や「足湯」など、コミュニケーションの場が有志によって設けられ、これらは避難所生活を円滑にするためにうまく機能していました。

避難所を運営する側の方に知っていていただきたいこと

避難所を運営する側には、地方自治体にお勤めの方や、教育機関の方、地域住民の有志やボランティアの方々など、様々な立場の人がいます。私がこの方々にお伝えしたいことは、「避難所運営のプロはいない」ということです。避難所では、事前に想定することのできない実に多くのトラブルや課題が起きます。ここで求められるのは想像力です。なぜ、トラブルが起きるのか、どのようにすればできるだけ人と人とのつながりを円滑にすることができるのか。これを現場で考え、実行する力が必要です。そしてこの想像力を養う訓練こそが、この「さすけなぶる」です。

避難所における視点を養うための参加型講座「さすけなぶる」

避難所では事前に事例を知っておくことも大切ですが、それ以上に重要なものは「視点を知っておく」ということです。視点があれば、状況に応じて「被災者の生活再建の場である避難所生活をできるだけ円滑に過ごすために」という1点のベクトルに向けた行動をすることができます。この視点は、避難所に来る被災者はもちろん避難所の運営側となる方々にもぜひ知っておいてもらいたいことです。「さすけなぶる」では、参加者の皆さまに「避難所運営シミュレーションゲーム」に参加していただきます。避難所運営側として、いかに考え、行動することが課題を解決し、被災者の幸せになるかを考えるのです。このゲームでは、避難所において本当に必要になってくる「避難所運営の視点」を養うことができるでしょう。

大切な考え方 「さすけなぶるの5つのキー」

避難所では、「全体」を見ることも大切ですが、「個」を大切にしなければなりません。個々の課題を解決に導くべく「さすけなぶる」における大切な5つの考え方<5つのキー>を、事前にここでお伝えいたします。それは、次の内容になります。

1、さりげなく
被災者の声に耳を傾け、生活環境の改善を進めよう。
(声には「大きな声」と「小さな声」があることを忘れずに)
2、すばやく
被災者の生活(暮らし)実態や課題をしっかり把握しよう。
(時間経過によるニーズ変化があることを忘れずに)
3、けむたがらずに
被災者同士、被災者と支援者等が交流できる場をつくろう。
(主体は被災者であることを忘れずに)
4、ないものねだりはやめて
地域の専門機関や団体等のネットワークを活用し、課題解決を進めよう。
(「できない」ではなく、「どうすればできるか」の視点を!)
5、ふる(ぶる)さとのような
被災者の参画による自治的な組織をつくろう。
(避難生活は、生活再建の第一歩であること忘れずに)

この5つのキーをどのように活用していくのか…それは、実際に参加をしていただき、体験していただければと思います。